中央卸売市場に行こう!農作物の流通現場を見に行く
農作物流通の要といえば、中央卸市場です。農家が丹精込めて作った農作物は卸売業者などを経由して各地の市場に運ばれ、そこからさらに仲卸業者などを経由して最終消費者に販売するスーパーや、業務用の飲食店などの店頭に並ぶことになります。東京では築地から移転した豊洲市場が有名ですね。東京には中央卸売市場が11箇所あるそうですが、そんな東京中央卸売市場を見学・訪問してきました。
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中央卸売市場とは
日本全国で生産される農作物や水揚げされる水産物を集め、外食産業やスーパー・八百屋などの小売業者に流通させる重要な役割を担っているのが中央卸売市場です。最近はネット通販の普及や卸業者をはさまない農家による消費者・小売業者への直接販売などの流通形態が伸びてきているため、卸売市場を経由した流通量は減少傾向のようですが、それでも都市圏の台所を預かる中央卸売市場の重要性は変わりません。
今回は大田市場と豊洲市場という東京の市場2ヶ所を見学してきました。日本国内には40都市64箇所に中央卸売市場があるそうなので、みなさんもぜひ最寄りの中央卸売市場へ行ってみてください。 ※開設者が国(農林水産大臣)から認可を得て開設した卸売市場を中央卸売市場と言い、都道府県から許可を得て開設するのが地方卸売市場と言い、こちらは全国に1000箇所以上あります。
※出典:農林水産省ホームページより
大田市場
年の瀬迫る12月末、早朝起床にて大田市場に行ってきました。こちらの市場には青果部・水産物部・花き部の三部門があります。花きだけ棟が離れているので今回は青果と水産の市場を見学してきました。
行き方と入場方法
JR大森駅または京急平和島駅からバスで「大田市場水産棟」で降りるのがおすすめ。アクセス ※大田市場内にはバス停が3ヶ所あります。
車で行く場合は、正門または西門の入り口で受付をして、一般車両が停められる駐車場に停めます。受付で駐車する場所など案内してくれますが、「棟内には荒くれ者がたくさんいて、ターレやフォークリフトがたくさん走ってるからね。歩行者は全く優先してくれないから、轢かれないように気をつけてください。」とめっちゃ脅されます。逆にちょっとワクワクしちゃう。
大田市場水産棟の建物。建物の上に鯛がいるのが目印。
市場敷地内にバス停があります。
青果棟
仲卸業者が店を構える青果棟です。ターレが縦横無尽に走っているので注意しながら見学。自転車が置いてありますが、広い市場内の移動手段ですね。青果のせりは朝の4-5時くらいには終わっているそうで、さすがにその時間には来れませんでした(訪問したのは朝6時半過ぎ)
ターレはこんな乗り物
今回は青果棟でどんなものを扱っているのか、果物を中心に見てきました。いろんな作物があって見ているだけでも楽しいです。
ぶどう
信州中野産のシャインマスカット
ちょっとゴツいバイオレットキング(上)と、粒がハートの形にみえる「マイハート」(下)
クイーンニーナ
長野県のぶどう農家だけが栽培できる「クイーンルージュ(R)」
ぶどうの収穫時期は過ぎているので冷蔵保存されていたものだと思いますが、どれも美味しそう!
他にもいろいろ
はっさく。柑橘は今が旬!
鹿児島産の柑橘「みはや」
皮ごと食べられるきんかん「いりき」 鹿児島薩摩川内市の特産品だそうです
バレーボールくらいの大きさの世界最大の柑橘「ばんぺいゆ」
パイナップル
バナナ
沖縄産の「島バナナ」
これは結構珍しいバナナのつぼみ「バナナハート」
ドラゴンフルーツ、メロゴールド、レモン、グレープフルーツ、キウイなどなど
他にもリンゴやイチゴ、アボカド、かりんなどの果物が多数。果物以外に野菜ももちろん大量にあるのですがここでは割愛。さすがは東京の中央卸市場、品数豊富です。
水産棟
水産棟は年末ということもあってか一般の買い出し客で混んでいました。
特大のタラバガニ
クジラ肉も売ってました クジラって刺身で食えるの?
マグロを解体しています
解体を待つマグロ
水産棟ではマグロ柵やカニがバンバン売れていましたよ。
ひとしきり見学し終わったあと、まだ朝の7時半でしたが市場内のやっちゃば横丁にある飲食店でマグロの漬け丼をいただきました。美味かった!
豊洲市場
築地から移転した国内最新設備の市場です。こちらは「閉鎖型施設」ということで完全に屋内施設になっており風雨にさらされることがありません。また見学者用のコースが整備されておりマグロや青果のセリも見学することができます。買い物も商業施設の「千客万来」が隣接されています。 見学者用には専用のコースがありトイレも整備され、市場内の業者とはきっちり区分けされとても清潔です。(個人的には大田市場のように店の横でマグロの解体を行なっているくらいの雑多な感じのほうが好きですけどね)
アクセス
電車の場合はゆりかもめの「市場前駅」から。車の場合は豊洲 千客万来の専用駐車場か、周辺の駐車場に停めます。アクセス なおマグロのセリは朝5時半から始まるため、電車だと始発でもちょっと間に合わないですね。
見学者コース
青果棟がメインの目的ではありますが、せっかく豊洲に来たのでマグロのせりは見ておきたい。まだ始発も動いていない5時過ぎ、駐車場から豊洲市場水産棟へ向かいます。
朝5時なので真っ暗
マグロのせりは豊洲市場の目玉イベントのようで、案内がいたるところにあります
見学場所に行く手前にはマグロや豊洲市場に関する展示
見学廊下。朝の5時過ぎだというのに見学客でいっぱい。体感的には8割以上が外国人でした
冷凍マグロが並べられています
買付人がマグロの品定めをしているところ。ベルの音はせり開始の合図
マグロのせりは外国人観光客に人気のようで、英語で実況案内をしている係の方がいらっしゃいました。
青果棟
さてマグロのせりを見たあとは今回の目的である青果棟に向かいます。青果のせりは朝6時半から行われるとのことで、マグロのせりを見学した人たちがそのまま青果棟に移動していくのかと思いきや…
こちらが青果棟の見学コース 人っこひとりおりません。マグロとの人気差が激しい…
仲卸業者のエリア
青果棟のせりはこちらで行われます
こちらはワサビのせりのようです 独特のハンドサインで次々と競り落とされていきます
白菜やほうれん草などの定番野菜に加え、くわいやゆずなど年末ならではの食材もありましたが、見学コースからだとちょっと分かりづらいですね。
卸売市場は食の流通の要
大田市場には「やっちゃば横丁」という、働く人向けの飲食店や資材を売るお店が並ぶエリアがあります。「やっちゃば」という言葉は、江戸時代から青果市場を指して使われてきた呼称です。大田市場はいくつかの移転を経て今の場所に落ち着き、その役割を担っています。
一方、豊洲市場は築地から移転した後継市場です。築地市場はもともと「魚河岸(うおがし)」と呼ばれる魚市場から発展してきた歴史があり、豊洲でもマグロのセリなど、水産物の大規模取引が行われています。
どちらの市場でも、毎朝3時や4時から働く人たちがいてくれるおかげで、大量の食材が都市に行き渡り、適正な価格で私たちの元に届きます。こうした市場の歴史や仕組みを知ると、中央卸売市場が日本の食を支える大切な存在だと改めて実感しますね。
市場見学、とってもおすすめなのでぜひお近くの中央卸売市場に訪問してみてはいかがでしょうか。※僕のオススメは大田市場です!