
もし農業が100人の村だったら
日本には主として農業を営んでいる人が2023年現在116万人いると言われています。もしそれを100人の村に縮めるとどうなるでしょう。
かつて賑やかだったこの村には、20年前には200人が暮らしていました。しかし、時の流れと共に村の人口は減少し、今やその数は100人にまで落ち込んでいます。10年後には50人の農家しか残らない見通しです。
村を構成するのは、様々な作物を育てる農家たちです。
52人は米農家、30人は畑作農家で色とりどりの野菜を栽培しています。果樹農家の18人は、鳥や獣による被害に頭を悩ませています。
村の高齢化は深刻で、平均年齢が68.7歳。70代以上の農家が約60人、40〜69歳までが35人を占めています。
その一方で、将来を担う39歳以下の若者はわずか5人しかいません。農家の高齢化は他の産業に比べても著しく、トラックドライバーの平均年齢48.6歳よりも20歳以上も高齢化が進んでいます。
農家の96人が個人経営農家で、法人経営は4人しかいませんが法人経営で農業全体の40%の生産額を法人が生産しています。
村の平均所得は125万円と少なく、村で育った若者の多くは農家を継がず都市で会社員をしています。村には高齢者しか残らず、耕作放棄地の増加や空き家の増加に悩まされています。
農地の状況も悪化しています。1人当たりの農地面積は平均2.5ヘクタールですが、大規模な5ヘクタール以上の農家はわずか10人。1ヘクタール以下の農家が約50人もおり、耕作放棄地の割合はこの10年で2倍に増加しました。
それでも、村人たちは希望を失っていません。
若手農家たちは、スマート農業や6次産業化に挑戦し、従来のやり方を刷新しようとしています。ベテラン農家たちは、これまで培った伝統的な技術を次世代に伝えようと努力しています。さらに、村を離れた若者たちも、都市部からのサポートを寄せています。
10年後、村には村の人数も半分以下になるもしれませんが、彼らの心には希望の光が燃え続けています。
この村の農業は、決して終わることはないでしょう。未来に向けて、彼らの挑戦は続きます。そして、村を愛するすべての人々の努力は、必ずや新たな息吹をもたらすことでしょう。
<参考文献>
農林水産省 農業経営をめぐる情勢について(令和6年4月))
https://www.maff.go.jp/j/kobetu_ninaite/nougyoukeiei_jousei_r6apr_set.pdf
三菱総合研究所 2050年の農業生産を半減させないために
https://www.mri.co.jp/knowledge/mreview/2022122.html