
知らん農産物を食べてみよう!第三弾「赤みず」
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赤みずとの出会いは突然に
初めて見る山菜には、どこか心が躍る。ちょっとした探検家気分とでも言うべきか。「これはどんな味がするのだろう」と思わず手が伸びてしまう。
今回スーパーで見つけたのは「赤みず」。名前からして正体が知れない。
赤い…?水…?
しかし見た目は意外にも地味で、緑色の細長い茎。「赤」の要素はどこに……?確かに根本はちょっと赤いかも…?そんなことを思いながらも、何はともあれ購入して調理を始めることにした。

そもそも「赤みず」とは何者なのか?
赤みずは主に東北地方に自生する山菜で、「ウワバミソウ」という名でも知られている。
水菜とは別物であり、湿った沢沿いや山あいに生えていることが多いらしい。
柔らかくみずみずしい茎、そして加熱すると出てくる独特のぬめりが特徴とのこと。
名前の“赤”は、茎の根元や皮の部分にわずかに見られる赤みから来ていると言われている。
調理前はほんのり赤みがあるが、茹でると鮮やかな緑に変わる。
食感はシャキシャキとしつつも、噛むうちにとろりとしたぬめりが舌に絡む。この食感の二重奏がクセになるという声も多いんだとか。
地味だけど奥深い、下ごしらえの楽しさ
まずは下ごしらえから始める。 葉を丁寧に取り除き、茎の皮をスルスルと剥いていく。
この皮むき作業が意外と楽しく、無心になってしまった。
剥き終えたらたっぷりのお湯でさっと塩茹でする。茹で上がった瞬間、緑が一気に鮮やかになり、「赤が完全に消えた…」と思わず心の中でつぶやく。

おひたしと生姜味噌たたき、二刀流で味わう
今回調理法は二通りを試した。
まずは定番のおひたし。茹でた赤みずを刻み、鰹節と醤油をかけるだけ。シンプルだからこそ、素材の味が生きる。

次に、生姜味噌たたき。東北ではポピュラーな食べ方とのこと。
すりおろした生姜と味噌を合わせ、赤みずを加えて包丁で軽く叩く。叩くことで繊維がほぐれ、調味料が全体に馴染む。

いいにおいする!
食べてわかる、郷土のやさしさ
まずはおひたしを口に入れる。シャキッとした歯ごたえのあと、優しいぬめりがとろりと広がる。この二重の食感が心地よい。味自体は控えめで、素材の風味がじんわりと感じられる。
これあれだ。旅先の田舎宿で、「郷土料理です」と前菜で出てくるやつだ。
続いて生姜味噌たたき。生姜の香りと味噌のコクが赤みずと相性抜群で、パンチのある味わいになる。これは白ごはんにも合うし、日本酒のお供にもぴったりだ。
冷蔵庫に常備しておきたいと思わせる、そんな万能おかずである。
赤みず、山菜界の知られざる実力者
赤みずは、食べてみて初めてその奥深さに気づく山菜である。
見た目こそ控えめだが、その食感と味の変化、素朴で滋味深い風味には確かな魅力がある。
アレンジレシピとしては、細かく刻んで納豆に混ぜたり、パスタに入れても美味しいと思う。
ぬめり×シャキシャキというテクスチャーの組み合わせが楽しい。
見かけた際には、ぜひ手に取ってほしい一品である。赤みずがあるだけで、いつもの台所がちょっとだけ旅館の朝ごはんのように感じられるかもしれない。

上品で細いフキ、といった趣がある。