
中国産シャインマスカット「晴王」を買って食べてみた
フルーツ日本代表選手、シャインマスカット。
国外流出が問題視され、最近では農水相のブランド戦略の話題で盛り上がっていますね!
そして「晴王」といえば、その中でも岡山県産のトップブランド――のはずですが、先日カンボジア・プノンペンのAEONモールで出会ったのは、「中国産 晴王」。
おやおや?
晴王?
これは一体、どういうことなのか。気になったので、実際に買って食べて、調べてみました。
Contents
🍇現地で見つけた「SHINE MUSCAT 晴王」——でも原産国は中国?
プノンペンのAEONモールでフルーツ売り場をふらっと歩いていたところ、目に飛び込んできたのは「SHINE MUSCAT」と「晴王」のラベルが付いた立派なぶどう。
しかしラベルの原産国表示は「中国」。
「晴王って、岡山のブランドじゃなかったっけ…?」と思いしつつも、ひと房購入してみました。
- 価格:8.90ドル(約1,330円)
- 重さ:1房で1116グラム
- 粒の重さ:1粒あたり約20グラム
ぶどう自体は綺麗にパックされており、大粒で見た目は申し分なし。なかなか期待させてくれます。







🥄実食レビュー:見た目は◎、でも味は…
カットして食べてみたところ、正直な感想はこうです
「あっさり、甘みも香り控えめ。とにかく薄い」
シャインマスカットといえば、口いっぱいに広がる華やかな香りと糖度の高さが魅力。ですが、今回の「中国産・晴王」は、見た目はよく似ていても、風味に明らかな違いがありました。
- 食感:やや硬めでパリッとした印象
- 香り:弱め
- 甘み:淡い
- 後味:すっきりしているが、物足りなさを感じる
決して「まずい」というわけではないのですが、日本で食べる本家のシャインマスカットと比べると、味の層が浅いというか、“高級感”に乏しい印象でした。
とにかく味が薄い!
🏷️ そもそも「晴王」ってなに?本物なの?
ここで気になるのが、この「晴王」って本物なの? という疑問。
✔️ 正しくはこう:
- 「晴王」は、岡山県産シャインマスカットのブランド名
- JA全農おかやまが展開する商標付きブランドで、厳しい基準(糖度18度以上、見た目・粒張りなど)をクリアしたものだけが名乗れる“選ばれしぶどう”
- 日本国内でも高級フルーツ店や贈答用に流通しており、1房数千円することも珍しくない
❌ 今回の「中国産・晴王」は?
パッケージに「SHINE MUSCAT」「晴王」と明記されているけれど。原産国が中国である時点で、正式な「晴王」ブランドではないかな?
🌏 海外で広がるシャインマスカット、でもそれは「同じもの」なのか?
今回のような事例から見えてくるのは、「見た目はシャインマスカット、でも中身は別物かもしれない」という現実です。
- 価格は手頃(8.90ドル/1kg超)
- 見た目は日本産と遜色なし
- 味・香りは別物
これをどう捉えるかは人それぞれですが、日本で開発され、丁寧に育てられてきた果物が、世界のどこかで「廉価版」として扱われている光景には、知財の課題やブランド管理の難しさを改めて感じます。
✍️ まとめ
日本では高級フルーツの代名詞でも、海を渡ると一房8ドルの“なんちゃって”商品になる。
これはシャインマスカットのグローバル展開が進む一方で、品種やブランドの保護が追いついていない現実を象徴しているようにも感じました。
日本で「晴王」を大切に育てている開発者や生産者の方々の努力が、きちんと報われる仕組み作りが求められていると痛感します。
🔍 note
- シャインマスカットの品種登録は2006年で、国際的な品種登録(UPOV)には出願されていなかったため、国外での保護は限定的
- 結果、中国や韓国などで「自家増殖」や「ブランド名だけ流用」が行われるケースが後を絶たない
- 農水省も「知財戦略の重要性」を掲げており、ブランド保護・輸出拡大に力を入れている