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農と仕事

実際に農家に入ってみたら、思ってたイメージと違った話

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初めまして、農村在住の農家ひろゆきです。今日は農業に興味はあるけれど、よく分からないという方に向けて、農業の現実とその魅力についてお話ししたいと思います。これを読めば、農業のイメージが少し変わるかもしれません。

家族経営農家の誇りと歴史

日本の農業の8割以上は家族経営で、これには深い意味があります。なぜ多くの日本の家族経営農家が、厳しい状況でも農業を続けているのか疑問に思ったことはありませんか?

答えの一つが「誇り」と「絆」です。農業は単なる職業ではなく、家族の歴史であり地域の文化の積み重ねでそのものなのです。

農村の歴史は、農地を開拓し人が集まり、農村自体が一つの共同体として文化を作り続けてきたことが、今に続いています。ここを知らないで農村に入ると、「人間関係が煩わしい」「イメージとちがかった」と農村を嫌いになるので、お気をつけください。

日本に小規模な農家が多いのは、地理的に山地が大部分を占めており、自然環境の変化も激しく狭い区画で地域のニーズに応える方法が効率が良かったというのが一つの理由かと思います。労働集約型の農業形態では、規模と品質はトレードオフの関係性なので、高品質の日本農業では大規模化できない。というのが現状なのかなと、現場感覚では感じています。 

また、耕作放棄地の問題もなかなか解決していません。これは、農地そのものが代々受け継いできた個人資産のため集約されず、非農家の親族が相続することで耕作放棄地になっていることが考えられます。農業振興の名のもとに農地の売買に制約が厳しいのも、農業と農村が一蓮托生の関係であり、守りたいのは地方の農村と文化だからです。

このあたりの背景を踏まえて見ると、農業課題の見え方も少し変わってくるかなと思います。

農業の可能性を広げる方法

農家に接する機会が少ない場合、職業としてイメージできず「会社辞めてまで、やる?」と疑問を持つこともあると思います。

実際のところ、日本の農業には多くの「可能性」があります。地域ごとの強みを生かした農作物生産や、観光農園のような新しいビジネスモデルも注目されています。

自然環境が多様な日本では、地域にあった多様な農業生産が行われており、単なる食材生産にとどまらず、食文化や観光産業とも結びつき、大きな付加価値を生み出しています。

例えば観光農園や地域ブランドの特産品は、国内外で高く評価されています。このことから、「農業の可能性はどうですか?」と聞かれたら、「日本の農業は地域の文化や特性を生かしたクリエイティブな仕事だ」と答えることができます。

日本の小さな農家たちこそ、グローバルな影響を与えるユニークな視点を持っているのです。

変化を求めるなら環境を変える

あなたが農業を職業にしたいと考えているなら、まず現在の環境を見直すことをお勧めします。変化するためには自分を取り囲む環境が重要です。新しい場所に出向き、新しい人と出会うことで視野が広がり、見慣れたものが違って見えるようになるのです。

初めは怖いかもしれませんが、一歩踏み出して農家へコンタクトをとって話を聞いてみませんか?

農業における新たな可能性

今、農業を選ぶ理由を問われたら、私は「まだ見ぬ可能性を見つけるため」と答えると思います。農業では6割以上が70歳以上(全産業平均1割)です。49歳以下は全体の2割しかいません。数年後、高齢者が一斉に離農した後には、少ない若手農業者が日本の食を支える中心になります。新たな発想で大きな変化が起こるはずです。

農業は想像以上にダイナミックで、多くの可能性に溢れています。ぜひ一度、その世界を覗いてみてください。

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