
富山の食は、昆布に包まれる旅だった
みなさんこんにちは。
最近私の第二の故郷、富山に久々に帰ったので、食文化について紹介したいと思う。
富山の食は、決して派手に叫ぶようなタイプではないが、旨味が静かに押し上げてくるような迫力がある。
今回は最初に寿司屋、次にスーパーに行ってみた。
Contents
地元のスーパーで食文化と接する

地物コーナーがある!

地物のメニューから「氷見産バッテラ」「活ばい貝」「甘えび」「白えびの昆布締め」を注文。
バッテラからいただく。酢は丸く、鯖の脂はしっかり。押し加減は強すぎず、口の中でほどける。土台のシャリが過度に甘くないのが良い。最高。
次に活ばい貝。まずコリっとした歯ごたえが来て、クセのない甘みが続く。これこれ。最高。
甘えび まず感じるのはねっとりとした甘さ。不思議なことに富山の甘エビは特に旨味が強いと感じる。
最後に白えびの昆布締め。水分が少し抜けて甘みが締まり、輪郭がはっきりする。富山の“整える技”を一口で理解できる品である。
やはり富山の食文化の良さは、なんというか、派手ではない質実剛健さにあると思う。
とにかく素材が良く、余計なものを足さない。そんな生真面目な性分が寿司からも感じられる。
スーパーの鮮魚コーナーに行ってみよう

次の舞台はスーパー。
サス(かじき)の昆布締めが平然と並んでいる。
かじきの刺身というとあまり他の地域では馴染みがないが、富山では年中出会える定番の食材。
淡白な白身を昆布が引き締め、旨みを引き出している… 昆布を巻くことで“保存と調整”を同時にこなすの、めちゃくちゃ合理的で格好いい。
富山に来たらとりあえず買ってみるべき食品No.1だと思う。

キラキラのサバ、貝コーナーにはばい貝がドン。魚の肌理がきめ細かく、色が全然違う! と声が出た。
練り物コーナーにも行ってみよう

富山の蒲鉾棚はミュージアムだ。昆布を帯のように巻いた蒲鉾、白えびのすり身でできた蒲鉾、そして鯛の形で現れる派手な細工蒲鉾。祝いの場に直送できる華やかさが、日常の売場で普通に待機している。
その他の食品も見ていこう

まずは特徴的なパッケージが目を引く大門素麺。
俵形にまとめられた素麺を割りながら茹でると、軽いのに芯がある、独特の歯応えが顔を出す。
氷見うどんは細めのうどんで、温・冷どちらにも対応できるオールラウンダーだ。メドローアが放てそう。

味噌はあっさりした米味噌が主流で、やはり飾り気のないおいしさを届けてくれる。刺身や昆布と一緒に食べると、ものすごくちょうどいい味がする。
棚の一角に「昆布締め用の昆布」が堂々と売られているのも富山らしい。魚はもちろん、豚ロースや鶏むね、野菜をを挟んでも美味しくいただける。
富山の食文化は「素材の美学」である
富山のスーパーには、北前船で培った昆布文化と、富山湾の圧倒的な魚介を生かした品々が潜んでいた。
寿司屋で確かめた味も、スーパーの鮮魚や蒲鉾、乾麺の棚も、その事実を静かに示していた。
昆布で締めて水分を整え、塩や酢は必要な分だけ――過不足のない手当てが味の芯を立てる。
手間は多くないが、手抜きではない。静かに毎日の食卓を底上げする力、それが富山の味である。