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ノウタス 小豆島 オリーブ

オリーブ収穫、農村歌舞伎。小豆島訪問レポート

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こんにちは、あきひさです。
3連休、小豆島に行ってきましたので、そのレポートです。

「今週末、実家のオリーブ収穫、一緒に行きます?」
海外駐在から久しぶりに帰国した友人と飲んでいたところ、そんなお誘いが。

友人の実家は小豆島で「三代松家オリーブ商会」という農園を営んでおり、こだわりのオリーブオイルを作っています。

三代松家オリーブ商会

実はつい先日、ノウタスが制作協力している文化放送の番組で、オリーブの様々な加工品開発を手がける農家さんの話を聞いたばかりでした。

オリーブへの興味がぐっと高まっていたタイミング。これは面白そうだと思い、二つ返事で参加を決めました。

歴史が息づく島、小豆島

今回の旅で僕がまず驚いたのは、小豆島が持つ歴史の厚みでした。

この島は、古くから瀬戸内海の海上交通の要衝として栄え、人や文化が行き交う拠点。徳川幕府による大坂城再建の際には、その巨大な石垣の石を切り出す石切場が置かれ 、400年以上も前から醤油やそうめんといった産業が花開いてきました。

そんな歴史ある島に、オリーブという新しい農業が根付いたのは近代のこと。

日露戦争後、日本は北の海に広大な漁場を得て、イワシなどの漁獲量が急増します。その魚を保存するためのオイル漬け、つまり魚の缶詰に使うオリーブオイルを国産化する必要に迫られ、国策として栽培が始まったのがきっかけでした。

温暖な気候が地中海に似ていた小豆島は、見事にその栽培に成功し、「日本のオリーブ発祥の地」となったのです。

オリーブ収穫体験

当日参加したのは、ITスタートアップ、小唄・清元・三味線のお師匠さんとお弟子さん、新聞記者、シルバー人材センターの方など、年代もバックグラウンドもさまざまな15人。

僕らが向かった友人家族のオリーブ畑は、一度は担い手を失い、手つかずになってしまった場所だったそうです。

しかし、友人のお母様が、たわわに実るオリーブを見て「この天の恵みを捨てることはできない」と一念発起。

農業の知識ゼロから、家族や友人の手を借りて、この美しい畑を再生させたと聞きました。

そんなお話や、参加者のみなさんのバックグラウンドなどを伺いながら、果実を摘んでいきます。

一つひとつ傷つけないよう、丁寧に手で摘み、人の目で選別していく。

そして収穫後24時間以内の搾油にこだわっているので、日が暮れた後もヘッドライトをつけて選別作業を続行し、当日中に加工場に運びました。のんびりした作業を想像していましたが、けっこうタイトなタイムスケジュールでした笑。

しかし、このこだわりが、まるですりおろしのオリーブジュースのようにフレッシュなオイルを生み出しています。

このオリーブ畑は国内外の有志のみなさんで管理しているので、遠隔で農園の状況を確認できないか考えていたそう。

ノウタスでは、AIを活用してぶどうを最適に管理する「AIぶどう栽培」を開発しています。

またペロブスカイト太陽電池を使った農園のリモート監視なども行なってきました。

ノウタスの技術を活用して、オリーブでも同様のことができるかもしれないと、色々な可能性を感じた1日でした。

島の恵みが循環する「オリーブ牛」

次の日には小豆島の名産「オリーブ牛」の生みの親である石井正樹さんへの新聞取材に同行させていただきました。

もともと質の良い和牛を育てていたものの、ブランド力で評価されないことに悩んでいた石井さん。

ある時、肉のうまみ成分「オレイン酸」が注目されていると知り、「オレイン酸が豊富なオリーブを牛に食べさせられないか」と閃いたそうです。しかし、オリーブオイルの搾りかすは渋くて牛が食べてくれない。

試行錯誤の末、干し柿からヒントを得て、搾りかすを乾燥させることで、牛が喜んで食べる飼料を開発しました。

「人間が食べても大丈夫」とのことで、僕らもその飼料を味見させてもらいましたが、オリーブの風味がして香ばしく美味しかったです。

この取り組みのすばらしさは、単に美味しいブランド牛が生まれただけではない点です。

オリーブ農家にとっては産業廃棄物だった搾りかすが価値を持ち、オリーブ牛の堆肥はオリーブ畑の良い肥料になる。

島の中で資源が美しく循環する、完璧なサステナブル農業です。

農村歌舞伎の鑑賞

そして夜には、江戸時代から続く「中山農村歌舞伎」の鑑賞に行きました。

観劇のお供は、小豆島に伝わる郷土料理の「割子(わりご)弁当」。

友人の実家の蔵から出てきたというお弁当箱は、蓋に「明治13年」(1880年)と書かれた年代物です。

昔は、歌舞伎の日に各家庭がこの大きなお弁当箱いっぱいに料理を作り、親戚や友人に振る舞ったそうです。

メインの演目は「菅原伝授手習鑑」の中の「寺子屋」。

実は、僕が歌舞伎を観るのはこれが初めて。

「セリフが聞き取れずに寝てしまったらどうしよう」と不安でしたが、始まる前に司会の方が丁寧に解説してくれたおかげで、物語にすっと入ることができました。

地元の皆さんが演じているとは思えない迫真の演技にぐいぐい引き込まれ、最後まで見入ってしまいました。

ノウタスでは「アグリテインメント(農業×エンタメ)」を掲げ、農業と日常を繋ぎ、生活を楽しくする取り組みをしていますが、それは決して新しい概念ではありません。

収穫を祝い、地域の人が集い、共に舞台を楽しむ。

この農村歌舞伎は、何百年も前からこの土地に息づいてきた、最高のアグリテインメントです。

当日のニュース動画

結論:小豆島、オススメです!

小豆島には、今回紹介したオリーブやオリーブ牛のほかにも、新鮮な海の幸、400年の伝統を持つお醤油、酒蔵、そうめんなど、たくさんの「おいしい」があります。

瀬戸内国際芸術祭の舞台の一つでもあり、アートとの距離も近い。

何より、穏やかな内海の風景は本当にきれいです。  

ぜひ一度、食、自然、文化、歴史がたくさん楽しめる小豆島を訪れてみてください。

僕も、次に訪れるのが今から本当に楽しみです。

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