農家の平均農業所得は169万円。「それで生活できるの?」意外と知らない農家の働き方
こんにちは、農家のひろゆきです。
突然ですが、日本の農業経営体の平均農業所得をご存じでしょうか。
農林水産省の統計によると、年間約169万円。月にすると約14万円です。
「えっ、それで生活できるの?」
そう思いますよね。
でも、長野県でぶどう農家をしている私からすると、この数字だけでは農家の暮らしはなかなか見えてきません。
実は農家って、農業以外にもいろいろな仕事をしている人がいるんです。
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夏はぶどう農家、冬はスノーボードの先生!?
私の暮らす長野県では、冬になると農作業が少なくなる農家もいます。
では、その間は何をしているのか。
こたつでミカンを食べながら春を待っている……というわけでもありません(笑)。
スキー場で働いたり、スノーボードのインストラクターをしたり。雪が降れば除雪作業、飲食店で働く人もいます。
夏は畑でぶどうを育て、冬はゲレンデでスノーボードを教える。
季節によって職業が変わるなんて、ちょっと面白いですよね。
ほかにも、会社員をしながら農業を続けている人や、別の事業を経営している人もいます。
私の周囲では、農業以外の収入源を持っていない人の方が珍しいと感じるほどです。
実は私自身も、ぶどう農家をしながらノウタスの経営に携わっています。
ある日は畑でぶどうの手入れをして、別の日には企業の方と共同研究や新しい事業について打ち合わせ。
作業着で畑に立っていたと思えば、今度はパソコンに向かって会議。
自分でも、いったい何屋さんなのかわからなくなることがあります(笑)。
農業所得169万円。でも、年金を足してみると?
もう一つ、農家の暮らしを考えるうえで忘れてはいけないのが年金です。
日本の基幹的農業従事者の平均年齢は約68歳。約7割が65歳以上です。
例えば、70代の農家夫婦を想像してみてください。
仮に、その夫婦の農業所得が年間169万円で、さらに夫婦ともに国民年金を満額受給していれば、合わせて年間約338万円になります。
さらに、住宅ローンのない持ち家に住み、庭では野菜を作り、田んぼでは自分たちが食べるお米も育てている。
野菜を買いに行くより、畑に取りに行く方が早い。
そんな暮らしをしている農家もいます。
もちろん、これは条件がそろった場合の一例。農業所得169万円は全農業経営体の平均で、70代夫婦の平均所得というわけではありません。
それでも、農業所得だけでは暮らしぶりが見えてこないことがわかります。
あれっ、去年まで畑だったのに分譲地に!?
地方に住んでいると、こんな光景を目にすることがあります。
「あれっ、去年まで畑だったのに、いつの間にか分譲地になっている!」
昨日まで野菜が育っていた場所に、気がつけば新しい家が何軒も建っている。
実は、その裏側で大きなお金が動いていることもあります。
土地の広さや立地によっては、農地を売却して数千万円の売却代金を受け取るケースもあります。
普段は畑で作業している近所のおじいちゃんが、実は数千万円、場合によっては数億円規模の土地資産を持っている。
なんてことも、あるかもしれません(笑)。
ほかにも、道路沿いの土地をコンビニに貸したり、アパートや駐車場を経営したりする農家もいます。
もちろん、農地を自由に宅地へ変えられるわけではありませんし、土地の資産価値がそのまま現金になるわけでもありません。
それでも、農家には農業所得だけでは見えてこない一面があるんです。
農家は究極のマルチワーカー?
夏は農業、冬はスキー場。
平日は会社員、週末は畑。
農業をしながら別の事業を経営する人もいる。
こうして見ると、農家って究極の「マルチワーカー」なのかもしれません。
ただ、農業以外に収入があるからといって、農業そのものが儲かっているとは限りません。
農業だけでは生活が成り立たず、ほかの仕事に支えられている人もいます。
一方で、農業を主な収入源とする「主業経営体」の平均農業所得は約494万円です。
同じ農家でも、働き方も収入も本当にさまざま。
農業所得169万円という数字だけで、農家の暮らしを判断するのは難しいんです。
農業を、もっと自由に。もっと面白く。
私自身、ぶどう農家とノウタスの仕事を両立する中で、農業にはもっといろいろな関わり方があってもいいと感じています。
農業一本で生きるのもいい。
会社員をしながら農業を続けるのもいい。
夏は畑、冬はゲレンデという働き方だって面白い。
もちろん、農業そのものがしっかり収益を生み、続けられる仕事であることも大切です。
農作業の負担を減らし、収益性を高める。そんな取り組みが進めば、農業との関わり方ももっと自由になるはずです。
私自身も、農家として、そしてノウタスの一員として、そんな可能性を広げていきたいと思っています。
農家の平均農業所得169万円。
その数字の向こうには、想像以上に多様で、ちょっと面白い農家の暮らしがあります。
次に農家の人と話す機会があったら、「農業以外には何をしているんですか?」と聞いてみてください。
意外な答えが返ってくるかもしれませんよ。
農業を、もっと自由に。もっと面白く。
参考資料
- 農林水産省「令和6年 農業経営体の経営収支」
- 農林水産省「2025年農林業センサス」
- 日本年金機構「令和8年度の年金額」
※農業所得169万円・494万円は、個人の給与年収ではなく1経営体あたりの平均です。年金を含む338万円は、夫婦ともに満額受給する場合の税金・社会保険料控除前の仮定です。