知らん農産物を食べてみよう!第四弾「のらぼう菜」
スーパーの青菜売り場で、名前に引っかかって立ち止まってしまったことはないだろうか。
小松菜でも菜の花でもない。
名札には「のらぼう菜」と書いてある。
のらぼう。語感がもう、いい。買わない理由が見当たらなかった。
Contents
スーパーで見つけた、ちょうどいい存在感の青菜
今回ののらぼう菜は、都内の一般的なスーパーで購入した。
特別扱いされているわけではないが、青菜売り場の中で不思議と目に留まる。

見た目は、以前紹介したアレッタに近い。ただほんの少し葉が薄い感じだ。
葉が青梗菜のような丸い葉ではなく、菜花やケールのようなギザギザの葉をしている。
茎はしっかりしているが硬そうではなく、葉もみずみずしい。
全体にバランスがよく、「料理しやすそう」という印象が強い。
どんな味付けにも対応できそうな、懐の広さを見た目からも感じる。
江戸時代から続く、東京生まれの野菜
のらぼう菜は、実はかなり歴史のある野菜である。
主な栽培地域は、東京都西部のあきる野市や青梅市、そして埼玉県の一部。
江戸時代から栽培されてきた在来種で、寒さに強く、冬から春にかけて長く収穫できる。
「刈っても刈っても伸びる」「野良で育つほど丈夫」
そんな性質から、この名前がついたと言われている。
手がかからず、安定して育つ。
江戸の食卓を静かに、しかし確実に支えてきた野菜だ。
近年は「東京の伝統野菜」として再評価され、
スーパーでも少しずつ見かけるようになってきている。らしい。
今日はパスタにしてみる!
最初の一皿は、パスタにした。
素材の性格を見るには、余計な味付けをしないのが一番だ。
ざく切りにしたのらぼう菜を軽く下茹でし、にんにくとオリーブオイルでさっと炒める。
あとは他の具材と一緒に茹でたパスタと合わせ、塩で調えるだけ。
シンプルだが、素材の良し悪しがはっきり出る組み合わせである。

青梗菜と小松菜のいいところ取り
使食べてみてすぐにわかった。食感は、青梗菜と小松菜のちょうど中間にある。
噛んだ瞬間は青梗菜のように軽くシャキッとし、そのあと小松菜に近い柔らかさでほどけていく。
繊維感がきつくなく、口当たりがとても良い。
さらに驚いたのは、エグ味や苦味がほとんどないことだ。
癖がなく、後味がすっとしている。
青菜特有の主張が前に出すぎないため、油や塩と自然に馴染む。
パスタの中でも存在感を失わず、
かといって邪魔もしない。
牛スネ肉とラムの赤ワイン煮込みに入れてみた
これは中華に入れたくなる味
食べながら確信した。
これは担々麺に合う。そして間違いなく中華炒めにも強い。
エグ味が少なく、油との相性が非常に良い。
ごま、甜麺醤、黒酢、といった調味料と合わせても、しっかり受け止めてくれそうだ。
青梗菜や小松菜の代わりとして使えるだけでなく、それ以上に扱いやすい場面も多いと思う。
味の方向性を選ばない、応用力の高さがある。
のらぼう菜は、頼れるレギュラー候補
のらぼう菜は、派手さで勝負する野菜ではない。
だが、食感、味、歴史、使いやすさが揃った渋い野菜だった。
スーパーで見かけたら、ぜひ一度手に取ってみてほしい。
青梗菜や小松菜と並んで、自然と選択肢に入ってくる野菜になるはずだ。