
農薬って何のために使っているの?〜農家の必需品〜
こんにちは、農家のひろゆきです!今日は、普段あまり意識されない「農薬」についてお話ししたいと思います。年間6万房のぶどうを生産している私にとって農薬はなくてはならないもの。農家にとっては必需品です。
そして、安心しておいしい野菜や果物を食べるために欠かせない存在なのです。そんな農薬の役割や意義を少しでも知っていただければ嬉しいです!

Contents
そもそも農薬って何?
農薬は畑の環境を変えることを目的に畑の外から持ち込んだものを指します。農薬には大きく「化学農薬」と「生物農薬」の2種類があり、それぞれ特有の役割を持っています。一般的に農薬としてイメージするものは化学農薬に該当し以下のものが含まれます。
- 殺虫剤:作物を食べる害虫を退治します。
- 殺菌剤:病気から作物を守る、予防や治療の助けになります。
- 除草剤:害虫の温床となる雑草を取り除き、畑内を清潔に保ちます。
- 植物調整剤:種無しぶどうのタネを無くしたり、植物の成長を抑制、促進したり植物生理に作用します。
また、アブラムシ駆除を目的に天敵のテントウムシを使用する「生物農薬」もあり、農薬の選択肢は多種多様です。しかし農薬は農家が好き勝手に使えるものではありません。全ての農薬は国による厳格な安全基準の登録を経ており、使用回数や濃度、使用できる作物は法律で厳しく定められています。限られた選択肢の中で、私たちぶどう農家は農薬による房の汚れ、皮ごと食べるので果皮に農薬が残らないように細心の注意を払って作業しています。
日本の気候と農薬
みなさんご存じの通り、日本は高温多湿で降水量が非常に多い国です。特に、オーストラリアやアメリカと比べても2〜4倍程度降水量が多いため、雨を媒介する病気の蔓延や、害虫の温床となる雑草の発生が畑全体に深刻な悪影響を与えます。日本の気候に合わせて農薬の散布回数も海外に比べて多いのかもしれません。最近では農薬の価格が上昇しており農家の収益を圧迫しています。そのため、できるだけ使用量を減らしたいという気持ちがある一方、無防備状態では作物が病気にかかるリスクも増大します。特に一度でも散布を怠ると、病気が畑全体に広がり、全ての作物が駄目になってしまうこともあるのです。

無農薬・オーガニックの魅力と現状
最近、無農薬やオーガニック栽培が注目されていますが、降水量の多い日本で実現するには高い技術と手間がかかります。ぶどうなどの果菜類では特に難しく一部でも病気に感染した場合は畑全体だけでなく隣接する畑にも病気が広がる可能性もあり、実際に無農薬栽培を実現するには厳しいと感じています。施設園芸で雨を遮断する方法もありますが、多額の設備投資がかかり現状は適切に農薬を使いながら安定して美味しいブドウを栽培しています。。
最後に
農薬は、作物を育てるための大切なパートナーです。それぞれに大切な役割があり、私たち農家は安心しておいしい農産物をお届けできるように、技術を磨き続けます。農薬についての理解を深めていただくことで、皆さんもより良い選択ができるようになることを期待しています。私たちの努力を見守ってください!
みなさんの食卓に笑顔を届けるために、これからも頑張ります!