実は40℃より怖い。農家が本当に恐れている「熱帯夜」
みなさん、こんにちは!農家のひろゆきです。
今年も暑いですね。
「毎年これが一番暑い夏なんじゃない?」と思うくらいの暑さですが、畑にいると年々暑さが厳しくなっているのを実感します。
最近はスーパーで「野菜高いな〜」「果物も高くなったな〜」と感じることも多いですよね。
ニュースでは「猛暑の影響」とひと言で片付けられることが多いですが、実は農家からすると少し違った見え方をしています。
私たちが本当に気にしているのは、40℃近い昼間の暑さよりも、夜になっても気温が下がらない「熱帯夜」です。
「え?昼じゃないの?」と思いますよね。
でも、この夜の暑さが、野菜や果物の甘さや色づき、収穫量、そしてスーパーでの価格にまで影響しているんです。
今回は、普段あまり知られていない「熱帯夜と農業」の関係について、できるだけ分かりやすくお話しします!
Contents
植物も夜は「休む時間」
植物は昼間、太陽の光を浴びて光合成をし、糖をつくっています。
この糖が、野菜や果物のおいしさのもとになります。
そして夜になると、その糖を使って呼吸をしながら成長します。
本来なら、夜は気温が下がるので呼吸も穏やかになり、昼間につくった糖をしっかり実に蓄えることができます。
ところが、熱帯夜になると呼吸が活発になってしまい、せっかくつくった糖をどんどん使ってしまいます。
その結果、
- 色づきが悪くなる
- 甘みが乗りにくくなる
- 実の肥大が悪くなる
- 品質が安定しなくなる
といったことが起こります。
つまり、農家にとっては「今日の最高気温は何℃だったか」よりも、「夜にどれだけ気温が下がるか」の方が気になる日も多いんです。
猛暑は「不作」の原因にもなります
猛暑の影響は品質だけではありません。
暑すぎると、花がうまく咲かなかったり、受粉がうまくいかなかったり、水不足で生育が止まってしまうことがあります。
さらに、果実が日焼けしたり、葉が傷んだりして、収穫できる量そのものが減ってしまうこともあります。
つまり、「畑にはあるけど売れない」「そもそも収穫量が少ない」という両方のことが起こるんです。
これがニュースで言われる「不作」の正体です。
収穫できても、全部が商品になるわけではない
収穫できたとしても安心ではありません。
色づきが悪い、甘みが足りない、形が悪い、日焼けしている…。
そんな理由で、市場に出せないものも増えてしまいます。
食べればおいしいものでも、見た目や品質の基準を満たせず販売できないことは意外と多いんです。
つまり、猛暑は収穫量だけでなく、「売れる量」まで減らしてしまうことがあります。
品質を守るために、農家も工夫しています
もちろん、私たちも何もしないわけではありません。
水やりの設備を入れたり、日差しを和らげる資材を使ったり、暑さに強い品種を選んだり。
最近ではセンサーやAIを活用して、より細かく栽培環境を管理する農家も増えています。
- 灌水設備で水分を管理する
- 遮光資材で日焼けを防ぐ
- 暑さに強い品種を選ぶ
- センサーやAIで栽培環境を管理する
こうした工夫のおかげで品質を維持できることもありますが、その分コストや手間は確実に増えています。
同じ品質の野菜や果物をつくるために、以前よりずっと努力が必要な時代になってきました。
これからの農業は「自然との付き合い方」が変わる
農業は自然が相手なので、天気そのものを変えることはできません。
でも、設備や技術、知識を使って、その影響を少しでも小さくすることはできます。
同じ暑さでも、設備がある農家とない農家では収穫量や品質に差が出る時代になってきています。
経験や勘だけでは乗り切れない場面も増え、これからは技術をどう取り入れるかがますます重要になりそうです。
「野菜が高い」には理由があります
猛暑で野菜や果物の価格が上がる理由は、一つではありません。
収穫量が減ること。
品質が落ちること。
販売できる量が減ること。
そして品質を守るために、これまで以上の設備や手間が必要になること。
いろいろな要因が重なって、スーパーの価格につながっています。
ニュースの見方が少し変わるかもしれません
これから天気予報で「今夜も熱帯夜です」と聞いたら、ぜひ農作物のことも少し思い出してみてください。
スーパーに並ぶ野菜や果物の価格の裏側には、自然と向き合いながら、おいしいものを届けようと頑張っている農家の努力があります。
そんな視点でニュースを見ると、いつもの天気予報や食卓が少し違って見えてくるかもしれません。
それでは、また次回の記事でお会いしましょう!